ナノ周期構造(LIPSS)で創成したブラックマーキング
ナノ周期構造は、表面改質の一技術として、近年注目されている技術です。その効果は、撥水性を付与したり、逆に浸水性を付与したり、発色させたりと、素材のままで表面に機能性を付与することが出来るため用途が広がります。論文ではフェムト秒レーザでナノ周(期構造Laser-Induced Periodic Surface Structures: LIPSS)が多く発表されています。
既にご存じの方もあるかもしれませんが、この技術は昨年、当社ホームページ「開発てんやわんや」にて紹介されました。うまくいかず上司から叱られ、依頼肩身の狭い、やるせない月日を過ごしましたが、ここに本日、堂々と、晴れて、にぎにぎしく「真っ黒マーキング」「ブラックマーキング」を、ご紹介するに至りました。形而変化のない真っ黒マーキングは、高級な金属製品によく似あいます。
三条市立大学様の協力を得て、SEM撮影と反射率の測定を実施しました。
1.ピコ秒レーザによるSUS304へのブラックマーキング
反射率:3.24%。なかなかの低反射率ですが、斜めに見ると少しこげ茶色に見える部分があり、
満足いくものではありません。照射方法により、ナノ構造に違いが出るのは興味深いところですが、
今回は周期構造になっているとは言えません。不思議な現象です。
2.フェムト秒レーザによるSUS304へのブラックマーキング
反射率 1%程度で、傾斜面でも真っ黒な構造色が見えます。
形而変化のまったくない黒は、高級金属製品の品質をより高めます。
3.そういえば、真っ黒ではないので、「開発てんやわんや」にお蔵入りになった、エメラルドブルーの構造色も、めでたく新技術に採用されました。
https://wired.jp.net/development-tenyawan/nano-periodic-structure_lipss/
4.今後はあらゆる構造色の発現にトライします。と、言いつつ上司の意見も気になります。いわれることは決まっています。
「この忙しいのに、何やってんだー」