リチウムイオン二次電池(LIB)用SiO負極へのレーザー穿孔加工及びプリドープによる不可逆容量の低減
従来の課題および本研究開発の概要
リチウムイオン二次電池(LIB)の負極材料として開発が進められているSiOの容量は約1500 mAh/gであり、現行の黒鉛負極(371 mAh/g)より非常に大きいことから、電池の高エネルギー密度化が期待されています。
一方で、SiOは初回の充電容量に対し実際に放電可能な容量が小さいため(=不可逆容量が大きい 図1)、これまで実用化が困難でした。
この度 国立大学法人山形大学様と当社の共同研究により、レーザー穿孔加工を施したSiO負極に、簡便な方法でのリチウムイオンのプリドープ1不可逆容量に相当するリチウムイオンをSiO負極にあらかじめ充電することが可能になり、不可逆容量が大幅に低減された電池の試作に成功しました。
レーザー穿孔電極を用いた電極構成
正 極 | 負 極 | |
活物質 | NCA | SiO |
開口率 | 1.5% | 0.5% |
従来のLIB構成とレーザー穿孔電極を用いて作製した電池の比較
小型電池の試作・評価結果
- SiO負極へのレーザー穿孔加工により、開口率0.5%の条件でもSiOへのリチウムイオンのプリドープが可能であることが確認されました(図2, 山形大学様評価データより)。
- プリドープにより充放電1サイクル目の不可逆容量が大幅に低減し、充電容量に対する放電容量の比が、プレドープ無しの場合の25%から本系では90%と大幅に改善しました。
- 本研究開発テーマについては山形大学様と共同で学会発表2) 第59回電池討論会(大阪), 「レーザー穿孔技術を利用した Si 系負極における Li プリドーピング技術の開発」を行っております。
謝辞
この成果は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業実施の結果を一部活用しています。