NICO Press(Vo.175)に掲載されました。
「光を通して新しい世界を!」を目標に、微細なレーザー穿孔加工技術に特化した事業を手掛けるワイヤード。独自に開発した技術とノウハウにより、各種フィルムや金属箔、電極などへの高速レーザー穴あけ加工を実現している。
レーザーによる微細な高速加工技術で新たな世界をつくる
独自の光学システムを開発し連続高速穴あけ加工を実現
ワイヤードは、フィルムをロールで送りながらレーザーによる高速かつ微細な穴加工を可能とする「ロールtoロールレーザー穿孔加工」の技術開発を主力とするベンチャー企業だ。
2014年から戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)を活用し、ロールtoロールレーザー穿孔加工装置の開発改良を進めてきた同社。さらに、2016年頃からは独自の光学システム「GHS(Grand Helical Scan)」の開発に取り組んだ。「GHSは世界でも当社しか持たない技術で、特許も取得しています。従来の光学システムと比べ、約100倍のスピードで精度の高い連続穿孔加工ができるため、今まで用いられなかった分野での活用も可能になりました」と外山代表は語る。
リチウムイオン電池の高容量化に向け産官学で研究
GHSの開発で、より高精度・高速化を実現したレーザー穿孔加工は、フィルム以外の素材にも適用されている。その一つがリチウムイオン電池の電極。近年、リチウムイオン電池の用途が拡大し、高容量化のニーズが高まっていたことから、山形大学や長岡工業高等専門学校、新潟県工業技術総合研究所などとの共同研究で、電池の容量を引き上げるために必要な、微細な穴あけ用レーザー加工技術の開発に取り組んだ。「解決しなければいけない課題が同時にいくつも出てきて、一つ一つクリアするのが大変でした」と外山代表は話すが、取り組みの結果、従来の約10倍の高容量化に成功した。
2019年には量産機として穴あけ用レーザー加工装置を納入し、現在は大手企業を主体に、様々な加工テストや量産を目指した開発が進んでいる。
ロールtoロールレーザー加工の技術力と価値を高めたい
2019年からシリコン系の新しい電極の実用化に向けた検証に、NICOの次世代産業技術創出支援事業を活用している同社。未知の分野の開発はリスクも大きいことから、資金の補助や助言、技術的な支援機関の紹介などを行うNICOのバックアップは非常に心強いという。
「GHSとロールtoロールレーザー穿孔加工のノウハウは、日本では間違いなく当社にしかないので、この技術で一つのプラットフォームを作っていきたい。そのためにもこの技術をしっかりと価値のあるものに高めていくことが重要だと思っています」と外山代表。技術開発ベンチャー企業としての誇りを胸に、これからも技術革新への挑戦を続ける。
「当社は技術開発ベンチャーなので、技術力を高め、その用途を広げるということに特化していきたい。そこに価値を見出してくれるお客様と、新しい世界を作っていきたいと考えています」(外山代表)。
株式会社ワイヤ―ド
代表取締役 外山 達志 氏
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